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NPO法人の会計基準を「市民参加型」でつくる新しい試みがスタート

 

 NPO法人会計基準協議会は、2009年3月31日、「NPO会計基準策定プロジェクトキックオフイベント『NPO法人の会計基準をつくろう!』〜NPO法人の信頼性向上のために〜」を開催しました。同協議会は、全国のNPO支援団体の有志から構成される時限的なネットワーク組織であり、市民参加型によるNPO法人の会計基準策定を目標としています。この取り組みについて、NPO法人会計基準協議会事務局(シーズ・市民活動を支える制度をつくる会)の丁理恵さんにご寄稿いただきました。


 2009年3月31日、「シーズ・市民活動を支える制度をつくる会」と「NPO会計税務専門家ネットワーク」をはじめとする全国の32のNPO支援団体は、「NPO法人会計基準協議会」を立ち上げました。公認会計士・税理士などの専門家、金融機関、助成財団、学者、NPO会計担当者など23名で構成された「NPO法人会計基準策定委員会」と協議しながら、約1年をかけて、「市民参加型」で、NPO法人の会計基準の案の取りまとめを行っていきます。

 欧米では、会計基準は、民間主導でつくることが一般的なのですが、日本ではこれまで、学校法人や社会福祉法人、公益法人などの会計基準は、政府主導で行われてきました。純粋に、NPOと多方面の専門家の人たちが協力して、「市民参加型」で会計基準をつくるという試みは、日本初となります。

 

■プロジェクト立ち上がりの経緯
 NPO法人には、現在、統一的な会計基準がありません。このため、以下のような問題が起こっているのが現状です。

・会計書類が法人によって表記方法がばらばらで比較できない。
・収支計算書と貸借対照表の関係が難しく、数字の整合性のないものがたくさんある。
・NPOを支援したいと考える税理士・会計士が支援しにくい。
・金融機関や企業関係者にとって馴染みがなく、わかりにくい。
・寄付者にとって資金の使途が分かりにくい。
・経営判断が的確にできない。

 シーズでは、1996年からNPO法人の会計基準について研究会を持ち、1998年3月には、NPO法人の会計指針の第1次草案を発表しました。さらに、2回目の提言を2005年12月に発表しています。

 政府も、NPO法人の会計基準の必要性は認識しており、一昨年に「目安となる会計基準が策定されることが適当」という報告(平成19年6月:国民生活審議会報告書)を出しています。そこでは、策定においては、実態に即したものである必要があるという認識から、「民間主導で行うことが適当」とされ、市民側の動きに期待が表明されました。

 これらを受け、シーズでは一昨年から、提案をさらに改善し、NPO法人の会計基準を策定すべく、NPO会計税務専門家ネットワークと連携して、検討する機会を重ね、また、税理士会や内閣府などとも協議を続け、準備を進めてきました。そして、ようやく今年3月31日にプロジェクトをスタートさせたのです。

(3月31日のイベントの様子)
http://www.npoweb.jp/modules/event/index.php?content_id=151

 

 

■なぜNPO法人独自の会計基準が必要なのか
 NPO法は、自由な社会貢献活動の促進と行政の関与の制限、簡素な運営組織、情報公開による市民社会からのチェックによる信頼性担保が、法律の理念です。

 NPO法人の会計基準が、今なぜ必要なのかということで、企業会計との違いをよく聞かれますが、一言でいうと、「『資金』が違うから会計報告に求められるものが違う」ということです。

 企業は、資本金、売上、借入金の3つが基本的な資金ですが、NPOは、資金の種類がもっと多様で、しかも資金の性格が企業とは大きく異なります。NPOの資金源には、会費・寄付金・事業収入・助成金・補助金・委託金などがありますが、資金の使途の自由度やミッションとの関連において、企業とは大きな違いがあります。

 会計報告に求められる大きな違いは、企業では「利益がどれだけ出たか」ということですが、NPOの場合は、「どういう事業で、どのようにお金が使われたか」ということを示さなくてはなりません。寄付金などの「目的」のあるお金を、どのように使ったかがきちんとわかり、社会的な信頼性を高められる会計報告をする必要があり、そのための統一した会計基準が必要となるのです。

 

■プロジェクト推進のしくみ
 今回のプロジェクトは、「NPO法人会計基準策定委員会」が作成する「NPO法人会計基準」案に対し、ユーザー側の「NPO会計基準協議会」が全国的にその基準案を実効性のあるものとして検討する場を設置することにより、検討と普及の体制を整えながら社会的コンセンサスの構築を目指し、推進していきます。

 そのために、策定のプロセスにおいて、何より多くの人に参加してもらうことが必須で、NPO法をつくった時と同じく、広く市民・専門家・NPOの声を反映するため、多くの方面の方々をオブザーバーとして迎え、議論に参加してもらう仕組みを構築しています。また、会合での意見交換、オンラインの掲示板での意見交換・募集、全国主要都市での勉強会など、オープンな基準づくりを目指しています。

 資金的にも、行政に頼らず、市民自身の力で実現したいと、支援を募りながら推進しています。現在、プロジェクトは、シーズに寄せられた多くの方々からの会費やご寄付、またトヨタ財団、中央労働金庫、キリン福祉財団、東京都共同募金会からのご助成、助成財団センターのご後援をいただき実施されています。

 事務局は、シーズ・市民活動を支える制度をつくる会が担っています。一人でも多くのみなさまに、このプロジェクトを策定していく過程(プロセス)にご参加いただき、一緒に作り上げる中で、「会計は誰のためのもの」で、「その目的や意義は何か」をしっかりとらえた、NPOにとって、使いやすく、役に立つ「会計基準」が策定できるよう、がんばりたいと思っています。


このプロジェクトに関する問い合わせは、下記まで。

 

NPO法人会計基準協議会事務局
シーズ・市民活動を支える制度をつくる会
プログラム・ディレクター 丁 理恵 (てい りえ)
E-mail:npoweb@abelia.ocn.ne.jp
URL:http://www.npoweb.jp/
Tel:03-5292-5471

 

 事務局では、ただ今、プロジェクトのオブザーバーを募集しています。オブザーバーの方には、今後の会議のご案内をさせていただく他、オンライン上の掲示板(現在構築中で、6月中旬より運用予定)で、議論に参加していただきます。

ご希望の方は、
 1.氏名(ふりがなも)
 2.ご所属名
 3.ご住所 〒
 4.お電話(FAX)番号
 5.メールアドレス
 6.シーズメルマガ登録ご希望の有無
を明記して、プロジェクト担当シーズ丁(てい)まで、お申し込みください。
(E-mail: npoweb@abelia.ocn.ne.jp

また、このプロジェクトの重要性をご理解いただき、ぜひともご支援をお願いいたします。ご支援の方法は、こちらのページをご参照ください。
http://www.npoweb.jp/modules/feature/index.php?content_id=84

 

 


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