クローズアップ

公益法人制度改革に関するウェブアンケート調査結果

 新公益法人制度が施行され1年8か月が過ぎた。内閣府の統計によれば、平成22年8月1日現在の移行申請(新公益法人への認定申請及び一般法人への認可申請)法人数は、認定申請717(うち認定335)、認可申請193(うち認可88)、計910(認定・認可計423)であるが、これらを含む公益法人全体の動向はどうか。公益法人協会(公法協)では、昨年に引き続き6月末から7月初旬にかけてウェブアンケート調査を実施した。

 対象としたのは新法施行時公益法人であったもの(24,317法人)のうち電子メールアドレスが判明している9,067法人である(移行済み、移行申請済みの法人も含む)。このうち2,955法人から回答を得た(回収率32.5%。ちなみに昨年度は、9,379法人を対象に調査を実施し、3,148法人から回答。回収率は33.6%であった)。回答法人の内訳は、法人類型別では、社団法人(公益・一般社団法人を含む)1,509(51.1%)、財団法人(公益・一般財団法人を含む)1,446(48.9%)、所管別では、国所管1,189(40.2%)、都道府県所管1,727(58.4%)、なし39(1.3%。注)であった。回答法人の内訳を実際の法人数と比べると、法人類型別ではちょうど構成比どおりであったが、所管別では国所管法人の割合が実態を大幅に上回る結果になった(新法施行時点での国所管法人と都道府県所管法人の構成比は27対73である)。したがって、回答全体を通して国所管法人の意向がより強く反映されていることには注意する必要がある。

(注)「一般法人への移行認可済みで、公益目的支出計画の要なし(又は完了)」の場合、「なし」となるが、実際の回答では、このケースに当てはまらない法人も何法人か(10法人以上)が「なし」にチェックをつけたのではないかと思われる。「なし」の件数が「一般法人への移行認可済み」の件数(24。質問1の回答参照)を上回ることはあり得ない。  今回のアンケート調査の項目は次のとおりである。
 

               項目                                             形式     
1 移行申請状況(申請済みか、いつ頃申請する予定か)    選択式
2 想定(移行後)法人類型。公益法人か一般法人か等     選択式
3 2で一般法人と回答した法人へ。一般法人選択の理由    選択式
4 移行申請先行政庁                                                 選択式
5 申請書類作成の方式。独力か又は外部委託か        選択式
6 相談時又は書類提出後の行政庁からの指摘・指導     記述式
7 行政庁の対応で問題と思った(思っている)こと            記述式
8 行政庁への要望                                 記述式
9 公法協ブログ「公益認定申請日記、Q&A」の認知度      選択式
10 現在困っていること                                               記述式
11 公法協への要望                                                   記述式

 

選択式が6問、記述式が5問という内容であった。以下、選択式項目の回答の集計結果をレポートする。


※記述式項目については各項目それぞれ膨大な書き込みをいただきました。本誌でその全部を紹介することは不可能であり、ここでは「行政庁への要望」の一部についてのみ取り上げさせていただきました。(1)記述式回答の全体は追ってとりまとめる報告書に収録の予定です。(2)「公法協への要望」の概要及びこれに対する弊協会の回答、コメントはホームページに掲載しております(http://www.kohokyo.or.jp/kohokyo-weblog/topics/2010/08/2_1.html)。

 

1 移行申請の状況

質問1 移行申請の状況は次のどの段階に当てはまりますか。

 (1) 公益法人への移行認定済み

 (2) 一般法人への移行認可済み

 (3) 公益法人への移行認定申請済み

 (4) 一般法人への移行認可申請済み

 (5) 平成22年度中(平成22年6月〜平成23年3月)申請予定

 (6) 平成23年度(平成23年4月〜平成24年3月)申請予定

 (7) 平成24年度(平成24年4月〜平成25年3月)申請予定

 (8) 平成25年度(平成25年4月〜11月)申請予定

 (9) 未定

 (10) その他

 

 回答法人中、移行申請済み(認定・認可済みを含む)件数の割合は7.4%(219件)であった。内訳は、「公益法人への移行認定済み」119件、「一般法人への移行認可済み」24件、「公益法人への移行認定申請済み」60件、「一般法人への移行認可申請済み」16件。残り(2,736件)の法人のうち最も多かったのは「平成23年度申請予定」で43.1%(1,275件)。以下、「平成22年度中申請予定」22.3%(659件)、「平成24年度申請予定」14.2%(419件)、「未定」10.5%(311件)であった。申請年度として「平成23年度」が最も多かった点は、昨年の調査結果と同じである(昨年は、「平成23年度」35.0%、「平成22年度」26.4%、「平成24年度」8.2%、「未定」19.2%)。昨年に比べ当然のことではあるが、「未定」の割合が減少した(図1)。

 図2は、申請予定年度に関する回答の推移(2005年〜2010年)をグラフ化したものである。新法施行年の調査(2008年6月)では「平成20・21年度」とする法人が最も多かったが、前述のとおり昨年の調査で「平成23年度」がトップとなり、本年は「平成23年度」に40%強の法人が集中することになった。 
 

 

 

2 想定(移行後)法人類型

質問2 次のどの法人への移行又は移行申請をしましたか、あるいはどの法人への移行を目指していますか。

(1) 公益法人

(2) 一般法人中の非営利性が徹底された法人

(3) 一般法人中の共益的活動を目的とする法人

(4) 一般法人中の特定普通法人(上記ケコ以外の一般法人)

(5) 公益法人か一般法人へ移行したいと考えているが、まだ結論は出ていない

(6) 特定非営利活動法人へ転換

(7) 社会福祉法人、学校法人、医療法人などの特別法法人へ転換

(8) 営利法人へ転換

(9) 解散

(10) その他 

 

 前問同様、すでに移行・移行申請した法人を含めての回答である。結果は図3のとおり。「公益法人」が最も多く53.9%(1,593件)、次いで「一般法人((2)〜(4))」28.3%(835件)、「公益法人か一般法人のいずれかだが、未定」15.9%(471件)の順であった。この3者で全体の98.1%(2,899件)を占めており、回答法人のほとんど全部が公益法人か一般法人を想定していることが分かる。ちなみに、昨年の調査結果は、「公益法人」54.8%、「一般法人」15.4%、「公益法人か一般法人のいずれかだが、未定」27.1%であった。今回「公益法人」と答えた法人の割合は昨年とほぼ同じであり、数字だけから見れば、「未定」が減った分「一般法人」が増えたという形である。

 「一般法人」を選択した法人の税法上の類型別内訳は、全数比で、「非営利性が徹底された法人」16.9%(499件)、「共益的活動を目的とする法人」7.8%(230件)、「特定普通法人」3.6%(106件)であった。  上記以外の回答では、「解散」が17件(0.6%)あるのが目につく程度である。「特定非営利活動法人へ転換」「営利法人へ転換」は各2件、「社会福祉法人等特別法法人へ転換」はゼロであった。

 図4は、想定(移行後)法人類型についての回答の推移をグラフにしたものである。「公益法人」を指向する法人は年々低下傾向にあり、「一般法人」を指向する法人は2008年6.6%、2009年15.4%、2010年28.3%と着実に増加してきている。「公益法人」「一般法人」の割合が最終的にどうなるかは予断を許さないが、傾向から見て今後も「一般法人」指向の法人が増加するのは確実ではないかと思われる。 

        


  3 一般法人選択の理由

〔質問1で(2)(4)、質問2で(2)〜(4)と答えた法人様、お答えください。複数回答可〕 質問3 一般法人を選択した理由は次のどれですか。

(1) 公益認定基準18項目の一部を充足しないため

  (※一部の内容をお答えください。例えば「公益目的事業比率」などのように。)

(2) 公益認定申請や公益法人移行後の事務負担が過大なため

(3) 仮に公益認定を取得しても、認定取消し時の財産没収リスクがあるため

(4) 移行後は一般法人のほうが運営が比較的自由にできるため

(5) 目的や事業から考えて一般法人が適しているため

(6) その他(※具体的にご記入ください。)

 

 すでに一般法人に移行・移行認可申請した法人を含め、質問3で「一般法人((2)〜(4))」と回答した法人に聞いたものである(母集団は835件。複数回答)。

 結果は、表のとおりである。


一般法人選択の理由             件数(835件に占める割合)
(1) 公益認定基準の一部を充足しない          294(35.2%)
(2) 公益認定申請や移行後の事務負担が過大  300(35.9%)
(3) 認定取消し時の財産没収リスク             209(25.0%)
(4) 一般法人のほうが運営が比較的自由        454(54.4%)
(5) 目的や事業から考えて一般法人が適        377(45.1%)
(6) その他                                                  53(6.3%)

 

一般法人選択の理由5項目のうち(1)〜(3)は、本来は公益法人希望であるが、やむなく一般法人を目指さざるを得ないとする法人の事情を推測して掲げた項目である。(4)(5)は前向きの選択理由といってよい。上の結果から見る限り、一般法人を選択した835件のうち少なくとも454件(54.4%)は積極的選択、また、少なくとも300件(35.9%)は消極的選択と見ることができるのではないか。

 なお、(1)と答えた法人には公益認定基準のうちどの項目が抵触するかについて答えていただいたが、それによると、「公益目的事業比率」が圧倒的に多く208件、他は「公益目的事業であるかどうか不確か」20件、「収支相償」14件、「遊休財産の保有制限」8件などであった。

 

4 申請先行政庁

質問4 公益法人認定(申請)・一般法人認可(申請)の行政庁はどこですか(行政庁としてどこを想定していますか)。

(1) 内閣府

(2) 都道府県

(3) 未定

(4) その他

 

 申請先行政庁は、「内閣府」35.0%(1,035件)、「都道府県」62.8%(1,857件)、「未定」1.7%(49件)という結果になった(図5)。前に見たが、今回のアンケート回答法人の所管別内訳は、国所管40.2%(1,189件)、都道府県所管58.4%(1,727件)である。回答では、国(内閣府)が154件減少し、都道府県が130件増加する形となっている(そのほか「未定」が49件ある)が、これは、国の地方支分部局所管法人(現在、国所管法人としてカウントしている)の多くが都道府県所管法人への申請を想定していることの現れではないかと考えられる。

 なお、今回の回答法人は国所管法人の比重が高いので、全法人ベースで申請先行政庁を考える場合には、上記の「内閣府」の比率35%はかなり割り引いて見る必要がある。最終的な着地点として参考になるのは、新法施行時点の国の本省庁所管の法人数(4,960。全法人の約20%)であろう。 

 
5 申請書類作成の方式

質問5 申請書類は独力で作成しましたか(する予定ですか)、それとも外部へ委託しましたか(する予定ですか)。

(1) 独力

(2) 一部外部へ委託(※一部の内容をお答えください。)

(3) 全部外部へ委託

(4) その他

 

 申請書類を独力で作成しようとしているか否か。「独力」67.2%(1,986件)、「一部外部へ委託」18.0%(531件)、「全部外部へ委託」6.5%(191件)であった。「その他」が8.4%(247件)あったが、その内容は不明(図6)。ちなみに昨年の結果は、「独力」67.2%、「一部外部へ委託」14.5%、「全部外部へ委託」5.1%であった。昨年と比べると、「独力」の割合は全く同じで、「一部外部へ委託」「全部外部へ委託」が少しずつ増えている。


 
6 公法協ブログの認知度

質問9 公益法人協会では平成20年11月末よりブログ「公益認定申請日記」およびQ&Aを運営していますが、ご存知ですか。

(1) 知っており、参考にしている。

(2) 知っているが、あまり参考にならない。

(3) 知らない。

 

 公法協ブログの認知度を聞いたものである。結果は図7のとおりである。「知っており、参考にしている」が53.4%(1,578件)、「知っているが、あまり参考にならない」が7.4%(219件)、「知らない」が39.2%(1,158件)であった。昨年は「知らない」が63.5%であったから、認知度は格段に向上したといえる。


図7 公法協ブログの認知

7 記述式回答

 以下、記述式回答のうち「8 行政庁への要望」への書き込みの主なものを紹介する。

 書き込みの件数は全部で610本であった(複数事項の書き込みは事項別に分解してカウント)。内容は、行政庁の対応・指導全般に関するものから、相談体制、相談内容、申請手続(申請書類)、移行審査、定款・諸規程等、会計・財務、情報公開、行政庁間の判断の統一、新公益法人制度そのものに至るまで多種多様であった。

 各項目ごとに、複数法人が記述している事柄についてその内容をいくつかずつ掲げると次のとおりである(最後の制度そのものに関する記述は略)。

(1) 行政庁の対応・指導全般

 「110年ぶりの大改正なので、ある程度親身に対応してほしい」「件数が多くてたいへんだと思うが、もう少し親切に対応できないか」「もっと積極的に意見・意思表示をしてほしい」「明快かつ適切な説明、指導をいただきたい」「一般論ではなくもう少し具体的な回答がほしい」「分かりやすく説明してほしい」「窓口担当者はもう少し基礎的な経理を理解してほしい」「担当者自身が公益法人制度改革を理解していない」「担当者によって見解が異なることがある」「迅速な対応をお願いしたい」

(2) 相談体制

 「相談窓口の予約が全くとれないので増設していただきたい」「電話がかかりにくく、時間を無駄にしている。回線と受付担当者を増やしてほしい」「相談員を増やすとか電話回線を増やすなどして予約がスムーズにできるようにしてほしい」「毎日相談可能な体制を整備していただきたい」「気軽に相談できる窓口を開設してほしい」「メールで質問し、回答が得られるような仕組みを作っていただきたい」「各県にメール相談窓口を設けていただきたい」「相談担当者の人数が少ないのではないか」 (編注)内閣府の相談体制については、目下、外部相談会の実施など改善策が進められている最中です。

(3) 相談内容

 「個別相談の機会を増やしてほしい」「業種ごとの相談会を開催してほしい」「事前相談で公益性があるかないか示してほしい。不認定後、改めて一般法人を申請するのは二度手間」「公益目的財産かどうか、認定後、登記後の総会や役員選任をどのようにすべきか、年度途中の決算、予算等をどのようにすべきか相談に応じてほしい」

(4) 申請手続(申請書類)

 「申請書類及び申請手続を簡略化してほしい」「小規模な法人については申請書類を簡素にしていただきたい」「補助金もなく会員の会費のみで運営しているような法人やこれまでに問題のなかった法人はより簡素な手続にしてほしい」「これまでの団体の実績から行政庁が判断し、決めるようなことができないか。できるだけ簡素な書類にしてほしい」「申請フォーマットに何を記入したらよいか分かりにくい」「申請書類作成の具体例を示してほしい」「弱小法人では外部へ申請事務を依頼する余裕もなく本当に困っている」「地方の弱小団体は、公益法人への移行は、経済的、人的に厳しい」「とにかく書類作成が難しい。外部に委託したくてもカネがない。自力で作成できずたいへん困っている」「もっと法人の負担が少ない制度の運用はできないものか」

(5) 移行審査

 「認定・認可までの時間の短縮」「修正要求が一度で済まず、何回も書き直しを求められたため、時間の浪費が甚だしかった」「早期に結果が出せるよう担当部署の体制の充実を図ってほしい」「申請してから認定・認可までの所要期間をある程度開示してほしい」「移行登記が4月1日にできるように配慮していただきたい」「認定の見込みがある程度はっきりした時点で認定の公示日を予め協議、調整できるよう柔軟に対応していただきたい」

(6) 定款・諸規程等

 「すでに公益財団法人に移行した法人の定款を真似して作成することを認めてほしい」「定款審査についてもっと法人の個性を認めるようにしていただきたい。モデル定款どおりではとても運営できないし、法律を網羅しているようには思われない」「モデル定款の趣旨に準じているにもかかわらず、本質的でない文言の修正を指摘され戸惑ったとの話を聞く。本質的な問題でなければ申請者の意図を尊重するようお願いしたい」

(7) 会計・財務

 「法人会計の撤廃」「作成すべき帳簿類が増え、事務量が倍増、3倍増すると言われている。経理・財務上の観点から帳簿の加増は全く合理性を欠いている。無駄な事務処理作業は廃すべき」「収支相償について、事業の変動はつきものなので、単年度でなく複数年度レンジで相償を評価してほしい」「経常収益が経常経費を超えないとする収支相償は厳しいものがあり、事業を継続的に実施していくことができるかどうか、不安」

(8) 情報公開

 「移行申請の具体的な実例等を示してほしい」「認定法人の申請書類等についてできるだけ公表し、今後の申請の参考にさせてほしい」「公益目的事業か否かの判断基準が抽象的であり、当財団の事業に当てはめた場合の判断に迷っている。認定事例の公表や判断基準のFAQの充実を要望する」「認定・不認定の案件を可能な限り公表し、具体的に論点を解説してほしい」「もっと審査の状況を知らせるべきだと思う」「申請書類の指摘内容等について公開してほしい」「行政庁は積極的な情報提供を行ってほしい」

(9) 判断の統一性

 「各行政庁で格差が生じないことを要望」「公益目的事業に該当するか否かに関する個別の判断について、国と都道府県間で情報を共有し、共通した判断基準を明確に示してほしい」「全国的に同様の法人であれば、同じ基準で対応するような仕組みを作るべきではないか」「統一的な判断、処理をしてほしい。都道府県によって判断が違う、都道府県によって審査が甘い、など不均衡があってはならない」


▼戻る